- 分別管理と信託保全の違い
FX業者の顧客資金の管理方法である分別管理と信託保全。ここでは両者の違いについてまとめていきます。
分別管理と信託保全の違い
分別管理と信託保全
分別管理
→ 「FX業者の運営資金」と「顧客資金」を別の口座で管理すること
信託保全
→ 「FX業者の運営資金」と「顧客資金」を別の口座で管理したうえで、「顧客資金」の口座をFX業者以外(信託銀行等)が管理すること
信託保全がなされると顧客資金を業者が勝手に動かすことが難しくなるため、安全性が高いということです。
分別管理とは
分別管理とは
「FX業者の運営資金」と「顧客資金」を別の口座で管理すること
分別管理というのは、「顧客から預った資金」と「FX業者の運営資金」を別の銀行口座で管理することで、顧客資金をFX業者の運営資金には使わないという資金管理方法です。
これは、単に別々の口座で管理しているだけなのでFX業者次第では全く安全性はないと言っても過言ではありません。
簡単にいうと、私たちが「生活用の口座」と「貯金用の口座」に給料を分けているのと同じような話になります。
「生活用の口座」のお金が枯渇してきたら、「貯金用の口座」からお金を引き出してしまうこともありますよね?
そのような危険性があるのが「分別管理」という資産管理方法になります。
まとめると、FX業者における分別管理というのは、
- FX業者に使い込まれてしまう可能性
- FX業者に持ち逃げされる可能性
- FX業者が倒産した場合、顧客資産も債権者に取られてしまう可能性
などが排除できない資金管理方法になります。
なお、海外FX業者の資金管理方法は「分別管理のみ」の場合がほとんどです。
信託保全とは
信託保全とは
「FX業者の運営資金」と「顧客資金」を別の口座で管理したうえで、「顧客資金」の口座をFX業者以外(信託銀行等)が管理すること
信託保全というのは、「顧客から預った資金」と「FX業者の経営資金」を別の銀行口座で管理したうえで、「顧客から預った資金」を信託法人などに管理させFX業者の運営資金には使えなくするという資金管理方法です。
これは第三者が顧客資金を管理するということになるので、分別管理であげたような業者の使い込み等のリスクは減ることになります。
これも簡単に言うと、私たちが「生活用の口座」と「貯金用の口座」に給料を分けている状態で「貯金用の口座」を奥さんに管理されているのと同じような話になります。
こうなると、自分で勝手にお金を引き出すことが困難になります。
この奥さんの役割にあたるのが「信託法人」「弁護士などの信託管理者」「信託銀行」になります。
信託保全の場合、一定の条件下でしか資金の引き出しができないので、万が一FX業者が倒産したとしても顧客資産は顧客に返還されるようになっています。
これが信託保全と呼ばれる資金管理方法になります。
信託保全をしている海外FX業者は、分別管理しかしていない業者よりもコスト払って顧客の安全性をあげていることになるため、信頼性の高い海外FX業者と言うことができます。
信託保全、またはそれと同等の施策をしている海外FX業者
金融ライセンスによっては信託保全が強制
日本でFX業を営むためには、日本国内で金融商品取引法に基づく「第一種金融商品取引業」の登録が必要となります。(日本の金融ライセンスの保有)
金融監督機関は金融庁で、金融庁の管理の下でFX業を運営しなければならないということです。
日本の金融ライセンスを所持している場合、金商法(金融商品取引法)によってFX業者の運営は縛られることになり、下記のようなことが課されます。
- 最大レバレッジは25倍に制限
- 顧客資産の信託保全が必須
ルールを逸脱した業者があれば、金融庁は業務停止命令を出すことになります。
このように金融ライセンスによって「信託保全」は必須とされる場合があります。
信託保全を規定しているような金融ライセンスは安全性の面では抜群なのですが、レバレッジ規制などのサービスを自由度を妨げるような規制もあるため、一概に日本のような金融ライセンスがいいとは言えないのが難しいところです。
金融ライセンスは世界各国にあり、日本の金融ライセンスのように「信託保全」を義務化しているところもあれば、「分別管理」しか規定しない金融ライセンスもあります。
基本的に海外FX業者が取得している金融ライセンスは「分別管理」のみを規定しているものが大半です。
これは、できるだけサービスの自由度をあげたいというのが海外FX業者にあるためで、優良な海外FX業者は金融ライセンスの要請による「分別管理」とは別に自主的に信託保全を導入して顧客資金の安全性を高めています。
分別管理と信託保全の違いまとめ
分別管理と信託保全
分別管理
→ 「FX業者の運営資金」と「顧客資金」を別の口座で管理すること
信託保全
→ 「FX業者の運営資金」と「顧客資金」を別の口座で管理したうえで、「顧客資金」の口座をFX業者以外(信託銀行等)が管理すること
信託保全がなされると顧客資金を業者が勝手に動かすことが難しくなるため、安全性が高いということです。
分別管理のダメさが表面化するのは、FX業者がつぶれそうなときです。
そのため、分別管理でよしとするか、信託保全まで求めるかは個人の判断で異なります。
私の場合は、できれば信託保全はあったほうがいいけれど、そこまでこだわりがありません。(これまで大きな問題を起こしてなければOKというスタンス)
分別管理と信託保全の違いを理解して、海外FX業者選びの参考にしてみてください。