相場は波形を描きながら上昇・下落・横ばいを繰り返す。
その波形を作る段階で、時間軸ごとに高値・安値ができあがる。
この高値・安値の中で、最も注視したいのが押し安値と戻り高値。
押し安値とは、高値更新の起点となった安値のこと。
戻り高値とは、安値更新の起点となった高値のこと。
なぜ、これらに注目すべきかと言えば、押し安値・戻り高値が突破されるとトレンド転換の可能性が高まるから。
ということで、ここでは「押し安値・戻り高値の活用」についてまとめておきます。
押し安値・戻り高値とは

押し安値
→ 高値更新の起点となった安値のこと
戻り高値
→ 安値更新の起点となった高値のこと
高値更新の起点になっているものは全て押し安値であるし、安値更新の起点になっているものは全て戻り高値になる。
この押し安値・戻り高値のうち、最後のものをラス押し・ラス戻しという言い方をすることもあり、このラス押し・ラス戻しは特に大事です。
※ラスはラスト(最後)のラス。
このラス押し・ラス戻しが大事な理由。
それは、「ラス押し・ラス戻しが破られたらトレンド転換が疑われる」から。
では、なぜトレンド転換が疑われるのかということについて見ていきます。
ラス押し・ラス戻しが破られたら注意が必要
ラス押し・ラス戻しが破られるとトレンド転換が疑われる理由。
それは、直近で順張りした人がみんなマイナスになる地点だからです。

例えば、上記の場合、上昇トレンドと見込んで直近一番いい位置で買った人は、ラス押しをつけたところでピンポイントで買った人です。
その後も上昇していることから、ラス押し以降も上昇トレンド見込んで買った人が大勢いるわけです。
ですが、ラス押しの地点を割るとどうなるか。
直近で買った人が全員含み損になります。
こういう人たちがどういう行動とることが多いかと言えば、「微益で逃げよう」とか「プラマイゼロで逃げよう」とか言う風になるので、直近高値まではレートが伸びません。
そして、上手く逃げられなかった人は損切りをしだすことから、下落に勢いがついてトレンド転換というかたちになるってわけです。
ちなみに、上記のようなラス押しを割って三尊を形成してトレンド転換というのは、結構よくみられるパターンです。
ラス押し・ラス戻し基準でトレンドを定義する
ラス押し・ラス戻しを割ったらトレンド転換が疑われる。
これは、逆を言えば、「ラス押し・ラス戻しを割らなければトレンドは継続する」ということになります。
この考え方は、ダウ理論を杓子定規に当てはめてトレンドを考えるよりも実戦的だと思います。
なぜなら、ラス押しを割ってないけど高値安値が切り下がった場合に、ダウ理論のトレンド定義だと不具合があるから。

上記のようなラス押しを割ってないけど、高値安値を切り下げつつ押し目を作って再上昇というパターンはよくあります。
このような場合に、ラス押し基準でトレンドを考えていれば押し目を狙っていくことになりますが、ダウ理論基準だと上昇トレンドは終了しているので押し目を狙っていけません。
こんな感じで、「ラス押し・ラス戻し基準でトレンドを考えて、割られたらトレンド転換を疑う」というのが、押し安値・戻り高値の活用方法になる。
なお、どんなテクニカルも「絶対」というものはありません。
ラス押し・ラス戻しを割ってもトレンド転換しない場合も当然あります、短期足だと特に。
ただ、そのような場合があってもトータルとして使えるのが押し安値・戻り高値に関する知識だと私は思っている。
ご自身でチャートを見て使えるかどうかを検証してみるといいと思います。