強制ロスカットとは、顧客が入金額以上の損をしないように、一定の基準の元でFX業者が強制的に損切りをするというシステム。
国内外どのFX業者にも整備されており、一応これをもって「業者は顧客保護をしていますよ」っていうことになっている。
けれど、実際は強制ロスカットで口座残高がマイナスになってしまう場合が稀にあり、そのような状況では、FX業者によって安全性が異なる。
ということで、ここでは、「強制ロスカット」についてまとめておきます。
強制ロスカットとロスカット水準
強制ロスカットとは、顧客が入金額以上の損失を負わないように、一定の基準の元でFX業者が「強制的に損切り」を行うルールのこと。
顧客保護を目的としたルールであり、FX業者が気分で勝手に損切りするわけではありません。
この強制ロスカットの基準となるのがロスカット水準と言われるものになる。
ロスカット水準とは、強制ロスカットの基準となる証拠金維持率のこと。
証拠金維持率40%以下で強制決済という場合、「ロスカット水準は40%」と表現される。
ちなみに国内FX業者の場合は概ね50%~100%、海外FX業者の場合は概ね0%~40%くらいに設定されており、海外FX業者の方が強制ロスカットがされにくくなっている。
なお、この強制ロスカットはされやすい方がいいか、されにくい方がいいかという話はあまり意味がない。
強制ロスカットとは、基本的に自分で損切りできない時に発動するもの。
自分で損切りできないトレーダーは遅かれ早かれ資金を吹っ飛ばす運命なので、ロスカット水準が高い業者を選ぼうが、低い業者を選ぼうが一緒だからってのが理由です。
このロスカット水準、トレードする度にいちいち計算する必要があるかと言えば、ありません。
なぜなら、ポジションを保有すると証拠金維持率はトレードソフトに表示されるから。
MT4の場合は、ポジションを保有すると下記のような感じで表示されます。

なので、極端に実効レバレッジを上げたトレードをしなければ、トレードする際にそこまでロスカット水準に気を配る必要はありません。
ロスカット水準の計算(参考)
<ロスカット水準の計算式>
証拠金維持率=有効証拠金÷必要証拠金×100
※有効証拠金=口座残高+含み損益
※必要証拠金=ポジション保有のために必要な証拠金
<条件>
- 口座残高10万円
- 保有ポジションの必要証拠金が50,000円
- ロスカット水準が70%
この条件の場合に、口座残高がいくらになったら強制ロスカットが発動するのかを計算します。
<計算>
有効証拠金÷必要証拠金×100=ロスカット水準
(口座残高+含み損益)÷50,000円×100=70
口座残高+含み損益=35,000円
となり、口座残高が35,000円を割ったら(保有ポジションの含み損が65,000円を超えたら)強制ロスカットが発動されます。
強制ロスカットで口座残高がマイナスになった場合
なにかサプライズ的な出来事があって相場が急激に動く時がある。
リーマンショック的な経済危機とか戦争とか災害とか、そういうやつ。
この場合、FX業者が強制ロスカットを発動しても、口座残高がマイナスになってしまう場合がありうる。 だいたい5~6年に1回あるかないかってくらいだけど、これに巻き込まれた場合、FX業者によっては借金を負ってしまったりすることもある。 この口座残高がマイナスになった場合、FX業者の対応としては以下の2パターンがある。 追証(おいしょう) マイナス分は顧客負担、国内FX業者で採用 ゼロカット マイナス分は業者負担、海外FX業者で採用 ひとつ目が「追証(おいしょう)」というシステム。 国内FX業者は全てこのシステムを採用しており、口座残高のマイナス分は顧客負担となる。 つまり、口座残高のマイナス分は「追加の証拠金として客が入金しろ」っていう話になる。 これがすぐに支払える金額ならそこまで問題ありませんが、状況によってはすぐに支払えない金額にもなりうる。 そうなった場合、FXで借金を負うということになります。 ふたつ目のパターン、それは「ゼロカット」というシステム。 主要な海外FX業者はこのシステムを採用しており、口座残高のマイナス分は業者負担となる。 これがどういうことがというと、顧客の最大損失は入金額に限定されることを意味する。 口座残高がマイナスになってもマイナス分は業者が負担し、そのうち口座残高のマイナスはゼロになる。 つまり、滅多にはないけれど本当に危険な時に安全なシステムはこちらということになります。