海外FXで一定額以上儲かった場合の納税は、日本のFX業者を利用していた時と同様に確定申告で行います。
大体、年明け2月中旬から3月中旬の期間に前年度の利益を申告する感じ。
海外FXで儲かった場合の税金は、「海外FXで儲かった金額」に「その他の給与所得など」を合算した金額に対して、対応する税率を掛けた金額を納める必要があります。
課税所得金額 | 税率 | 課税控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195〜330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330〜695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695〜900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900〜1800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1800万円~4000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4000万円~ | 45% | 4,796,000円 |
上記のような表があり、それに対応する税率を掛けた金額を納める必要がある。
とっても、会社などの給与所得が他にある人は、給与に関わる税金は天引きで引かれているはずなので、天引きされていない海外FXの儲け分の税金だけを確定申告で納税することになります。
そんな感じで、ここでは海外FXの確定申告についてまとめていきます。
海外FXの確定申告の対象となる人
海外FXで確定申告が必要になる一定金額以上の儲けは、サラリーマンかそうでないかで以下のように分かれます。
給与所得ありの場合、年間20万円以上の利益
給与所得なしの場合、年間38万円以上の利益
勤め先があり、副業で海外FXをやっている人は給与所得者にあたり、年間20万円以上の利益を出したら、確定申告をする必要があります。
※サラリーマン、OL、アルバイト、パートなど
一方、勤め先がなく海外FXをやっている人は非給与所得者にあたり、年間38万円以上の利益を出したら、確定申告をする必要があります。
※学生、専業主婦、無職、定年退職者、年金生活者など
勤め人かそうでないかで、基準となる利益額が変わるので、自分がどちらかに属するのかをまず把握しましょう。
そして、基準となる利益額を超えていた場合に納税の義務が発生します。
なお、海外FXで儲かっていない人(マイナス収支の人)は、確定申告をする必要はありません。
確定申告における納税額の計算方法
課税所得(利益-経費)×税率-課税控除額=納税額
確定申告における納税額は上記の式で計算できます。
まず、課税所得ですが、これは「年間利益-必要経費」で計算できます。
「年間利益」は、前年の1月1日~12月31日の売買損益+スワップ損益。
未決済のポジションの含み損益は含まず、確定損益のみ対象になります。
なので、例えばサラリーマンが12月末の時点で15万円の確定利益と8万円の含み益のポジションを保有していた場合、ポジションを決済しなければ確定申告自体が必要ない。
なお、海外FX業者から年間損益報告書が出る場合にはそれを見ればよく、年間損益報告書がない場合にはMT4の口座履歴から期間を指定して前年度の損益を把握します。
そして、複数の海外FX業者を利用している場合はそれぞれの損益を合算します。
※なお、海外FX業者と国内FX業者は税区分が違うので合算できません。
「必要経費」は、海外FXで稼ぐためにかかったお金のこと。
書籍代だったり、PC代だったり、「FXをするのに必要だったんだよ」って税務署に説明できるものなら全部経費にしてしまってOKです。
必要経費の例
- FXについて勉強するためにかかった書籍代やセミナー代
- トレードするためのパソコンの購入費用
- モニタ・スマホ・タブレットの購入費用
- インターネット回線のプロバイダー代
- FXについて教わるための会食費
課税所得が確定したら、それに該当する税率を掛け、その後に課税控除額を引きます。
これによって、確定申告する所得税が算出できます。
なお、課税所得に対して住民税10%が課されますが、確定申告は所得税についてするものなので、確定申告では気にする必要はありません。
※あとで役所が勝手に計算して住民税の支払通知が送られてきます。
課税所得金額 | 税率 | 課税控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195〜330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330〜695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695〜900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900〜1800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1800万円~4000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4000万円~ | 45% | 4,796,000円 |
こういうのは具体例で考えた方がわかりやすいので、例をあげていきます。
納税額計算の具体例
ケース1:サラリーマンの場合
- 勤め先からの給与:年収300万円
- 海外FXの利益:年間200万円
- 必要経費:50万円
会社からの所得が300万円、海外FXの所得が150万円。(200万-50万円)
合計450万円が課税所得になります。
課税所得450万の税率は表より20%。
450万円×税率20% -427,500円(課税控除額)=472,500円(納税額)
よって、472,500円を納税する必要がありますが、サラリーマンの方は給与所得にかかる部分はすでに天引きで所得税を納めています。
そのため、このこの472,500円からすでに会社経由で納税している分を引いた額が確定申告での納税額になります。(海外FXで稼いだ分だけ納税するということ)
※会社からもらえる源泉徴収票を見れば、給与所得に関わる納税額はわかります。
ケース2 専業主婦で海外FXのみ収益がある場合
- 海外FXの利益:300万円
- 必要経費:100万円
給与所得がないため、海外FXのみ200万円が課税所得になります。(300万円-100万円)
課税所得200万の税率は表より10%。
200万円×税率10% -97,500円(課税控除額)=102,500円(納税額)
よって、102,500円を納税する必要があります。
サラリーマンの方と違って、計算はシンプルな感じになり、この計算のままの納税額を確定申告することになります。
なお、復興特別所得税というものを納税額に足したものが正確な納税額になるのですが、説明をわかりやすくするため、例ではないものしています。
※復興特別所得税は、東日本大震災の復興財源を確保するための税金で2013年から2037年まで基準所得税額の2.1%納付することになっています。
ちなみに確定申告しないとどうなるか
ここまで説明してきた確定申告、これをしないとどうなるか。
これはいわゆる脱税になるので、以下のような刑罰があります。
悪質性の低い脱税の場合
→ 通常収める税金+無申告課税(15%)
隠蔽工作など悪質な脱税の場合
→ 通常収める税金+無申告課税(15%)+重加算税(35%)
さらに悪質な脱税の場合
→ 上記の罰則に加えて逮捕の可能性
罰則を見てわかるとおり、脱税がばれた時のリスクが大きく、積極的にも消極的にもやるもんじゃありません。
海外FXだと日本のFX業者でFXをするよりもばれなそうなイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。
脱税は犯罪行為であるということ甘く見るべきではなく、FXで儲かったなら儲かったなりの税金をルールに沿って納税すべきだと言えます。
海外FXの儲けを会社にばれないようにする方法
海外FXに限らず、副業の利益って会社にあんまりばれたくないもの。
FXをやる前から儲かることを前提に考えるのもどうかと思いますが、ばれないようにする方法はあります。
方法としては、確定申告の際に住民税を自分で納付(普通徴収)にすることです。
まず、会社に副業の収益ばれる仕組みっていうのは、会社の給与に副業の所得を足したうえで計算された住民税の通知が会社にいくからです。
確定申告っていうのは所得税の申告なので、住民税はそのあと役所が総所得を元に計算します。
その住民税を天引きするための通知が市役所等から会社に行くことで副業がばれる可能性がある。
なぜなら、会社から同じくらいの給料をもらっている人よりもあなたの住民税が高かったら、副業して他に所得があるなということが会社からわかってしまうから。
これを回避したい場合、確定申告の際に副業の住民税について自分で納付(普通徴収)を選択すればOK。
住民税の取られ方は、会社からの天引きによる「強制徴収」と自分で支払う「普通徴収」の2パターンがある。
なので、副業分は天引きしないように自分で払ってしまえばばれないってこと。
具体的には、確定申告の際に「住民税に関する事項」欄で「自分で納付」に〇をつければOKです。

こうすることで、会社の給与分の住民税は会社で天引き、副業で稼いだ分の住民税は自分で納付ということになります。
こうしておけば、海外FXで稼いだことが会社にばれることはまずありません。
日本のFX業者を利用した場合との比較(参考)
税制 | 日本のFX業者 | 海外FX業者 |
税率 | 分離課税 (常に20.315%) | 総合課税 (累進課税で最大55%) |
繰越控除 | 〇 | × |
損益通算 | 〇 | × |
海外FX業者で儲かった場合、日本のFX業者で儲かった場合と比べて、たくさん税金を納めなくてはいけません。
上記表と税率に関する表を見ればわかるとおり、分岐となるのは695万円。
海外FXの利益+他の収入が695万円を超えてくると日本のFX業者を利用していた場合より納税額が多くなる。
逆を言うと、海外FX+他の収入が695万円以下なら海外FXを使った方が納税額は少なくなります。(日本のFX業者は儲けが少なかろうと常に20.315%とられるので)
また、海外FX業者を利用した場合、繰越控除と損益通算というシステムは使えません。
どちらも使えればお得な仕組みですが、使えるのは日本のFX業者を使っていた場合のみになります。
繰越控除と損益通算
繰越控除とは、年間損益がマイナスになってしまった場合でも確定申告をしておくと、その後3年間に利益が出た場合、過去分の損失と利益を相殺することができるという仕組みです。(過去のマイナス分で当年の税金を減らせるということ)
損益通算とは、FX以外の他の金融商品(CFDやバイナリーオプション、商品先物、日経225先物等)との損益を合算でき、税金を抑えることができる仕組みです。(FXがプラスでも他がマイナスなら税金を減らせるということ)
※なお、株はFXと税区分が異なるため損益通算はできません。