技術論

ダウ理論の基本

ダウ理論の実戦的な使い方(ラス押し・ラス戻しの理解)

テクニカル分析の基本と言えばダウ理論。

簡単に言うなら、高値と安値の位置関係からトレンドを判断するってのがダウ理論の使い方。

ダウ理論は、19世紀の終わりごろにチャールズ・ヘンリー・ダウっていう人が株式市場を元に提唱した相場理論のこと。

で、その理論は、以下の6つの原則から成り立っている。

  1. 価格はすべての事象を織り込む
  2. トレンドは短期・中期・長期に分類される
  3. 主要なトレンドは3つの段階から形成される
  4. 価格は相互に確認される必要がある
  5. トレンドは出来高でも確認される必要がある
  6. トレンドは明確なシグナルが出るまで継続する

この6つの中で、一番大事なもの。

それは、トレンドは明確なシグナルが出るまで継続する」という原則。

これは、ダウ理論のトレンド定義に当てはまり続ける限りトレンドは継続し、ダウ理論のトレンド定義が明確に崩れた時にトレンドが終わると考えるってこと。

で、ダウ理論のトレンド定義ってなんなんだよってことですが、これは下記のように定義されます。

ダウ理論の上昇トレンド定義

→ 高値・安値がそれぞれ切り上がる

ダウ理論の下降トレンド定義

→ 高値・安値がそれぞれ切り下がる

まあ、見てわかるとおり「高値・安値の位置関係」からトレンドを把握しようっていうのがダウ理論になるわけです。

下記は、適当に描いたレートの推移。

ダウ理論で見た場合、どこが上昇トレンドで、どこが下落トレンドになるでしょうか。

少しは考えてみたでしょうか。

答えは下記のような感じ。

①、③が上昇トレンド期間、②が下落トレンド期間。

①と②の間、②と③の間は、トレンドなしの期間になります。

簡単に説明すると、

Aのラインを割るまでは高値安値を切り上げてるので上昇トレンド。

Aのラインを割ると安値が切り下がるのが確定なのでトレンド終了。ただし高値はまだ切り下がっていないので下落トレンドではない。

Bのラインを割ることで高値安値が切り下がるため下落トレンドに転換。

その後、Cのラインを超えてきたので高値切り上げが確定なのでトレンド終了。ただし安値は切り上げていないので上昇トレンドではない。

Dのラインを超えることで高値安値が切り下がるため上昇トレンドに転換。

という感じになる。

上記例を見てもらえば分かると思いますが、ダウ理論で大事なのは

トレンドの終了=トレンドの転換ではない

ということです。

要は、ダウ理論を元にトレードするなら「ダウ理論的に上昇トレンドが崩れた。よし、売りだ!」みたいなことをしてはいけないってこと。

ダウ理論のトレンドの終了は、トレンド定義に当てはまらない状況になったということを意味している。

そのため、あらためてトレンド定義に当てはまる状況になるまでは、基本的な目線としてはフラットにすべきなわけです。

そして、その後に再びトレンド定義に当てはまる状況がきたなら、トレンド方向にトレードするというのがダウ理論の基本的な使い方になる。

相場って基本的に「トレンドが出る、レンジになる、トレンド継続or転換」っていうのの繰り返し。

急激にトレンドが転換することもあるけど、多くの場合はレンジを挟む。

ダウ理論的に見てもそうなるってだけの話だけど、トレンドの終了=トレンドの転換ではないっていうのはきちんと理解しておいた方がよいと思う。

ダウ理論の基本的なところはこんな感じ。

ちょっと、長くなったのでどう活用するかみたいな話は、別の記事にします。

→ ダウ理論の活用方法

ダウ理論の6つの原則詳細

1、価格はすべての事象を織り込む

チャート上の価格は、ファンダメンタルズなどの要因も含めてすべて織り込まれたものが反映されているという考え方。

これは、チャート上の値動きだけ分析すればよいということであり、テクニカル分析の根拠となる考え方になる。

2、トレンドは短期・中期・長期に分類される

ダウ理論ではトレンドは以下の3種類あると想定されている。

  • 長期トレンド:1年~数年間
  • 中期トレンド:数週間~数か月
  • 短期トレンド:1か月未満

3、主要なトレンドは3つの段階から形成される

トレンドの形成について、ダウ理論では下記の3つの段階に分けている。

どちらかと言うと、株式市場の話。

  • 先行期
    → 底値付近で積極的な投資家が買い出し、緩やかに上昇する時期。後から見て底値とわかるだけであり、買う段階でそこが底値になるかはわからない。
  • 追随期
    → その他の買い要素が確認され、多数の投資家が買いだすため価格が急伸する時期。盛り上がるのでトレードしやすい期間ではある。
  • 利食い期
    → メディアなどの煽りなどで素人も参入、上昇の最終段階。利食いによる急落の可能性高まる時期。

4、価格は相互に確認される必要がある

株式市場の例でいえば、工業平均株価・輸送平均株価双方が上昇して、上昇トレンドとみなすといったような考え方。

FXで言うなら、ドルが強い時は米金利も強くないといけないといったようなことになるが、銘柄ごとの相関関係というのは時期によって変動があるので、FXトレードに使えるかというと何とも言えないところ。

5、トレンドは出来高でも確認される必要がある

上昇トレンドの時は上昇時に出来高が増加、下落時には出来高が減少するといった考え方。

株式市場では有用だが、FXにおいては正確な出来高は把握することができないため、活用するのが難しい。

6、トレンドは明確なシグナルが出るまで継続する

前述のとおり。